DAY 375 Memories of AIRs.

最高に寝心地がいいベッドだった。おかげで起きたのは昼前、駄目だなこれニューヨークにいる間早起き出来る気が全くしねえ。とりあえずキッチンを借りて朝食兼昼食を作る。

サブレットで部屋を借りている家主の男性から「今日はどこに行くんですか?」と聞かれて答えに詰まった。全く決めてないし特に行きたいところもないんです。彼はバイヤーをしていて家の中にはスニーカーやキャップなどが山積みになっているので話題はそちらの方向へ。自分も昔ナイキやG-SHOCKにうきうきしていた世代なのだ。

「フラッシングにナイキのアウトレットやアウドドアの安い店がありますよ」と言われ興味が湧き7トレインに乗って向かう。ノースフェイスの薄手のフリースが半額だったのがそれでも70ドル、悩んだ末に見送ってナイキのアウトレットへ。

土曜日ということもあり店内は混雑しまくり、場所柄もあってアジア系の客が非常に多かった。サイズごとに分けられたスニーカーの棚を物色し始める。このハラチちょっといいな、でもカラーリングが惜しい。ん、これエアマックス95の復刻だ!でもオール茶色ってどう履けばいいのさ…

これだけ多くのエアーが注入されたスニーカーに囲まれると嫌でも中学生の頃を思い出す。全国的にナイキブームだったあの頃、自分の周りも皆ナイキを必死に買い求めていた。そして買ったら履きたいのが人情、しかし当時の自分の中学はじめっとした荒れ方をしていたので下駄箱に入れとくと夕方には画鋲でぶすっとエアーが抜かれている有様だった。

そのためそれでも履きたい奴は自分の教室までスニーカーを持って保管していたのだが鍵がかかるロッカーが無かったので机の横にぶら下げていた。そこまでやっとけば何かされる心配は無いと普通は考える、まあ常識的にそうでしょう。

とある同級生に「ちょっと抜けて付き合ってくれ」と体育の時間に頼まれた。深く考えずにオッケーしてそいつについて行くと我々の教室に入っていく。立ち止まったのは傍目から見てそいつが一番仲良くしている奴の机の前だった。

一瞬の逡巡も無くそいつは親友と呼べそうな存在のスニーカーのエアーに画鋲をぶっ刺す。左右両方に小さな穴を作って「よし戻ろう」と小さく言った。その時自分は何を考えていたんだっけ?たぶん「世も末だなあ」とかかな。そんな、BOYS BE..の甘酸っぱさやドキドキの欠片もない思い出。

 

ミッシェル・ガン・エレファント – リリィ


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