DAY 374 McDonald’s and MoMA.

飛行機から出てヒューストンの空港に入るとひんやりとしていた。や、空調が効いているので寒いわけではないのだ。でも空調では誤魔化しきれない冷たさを確かに感じる。北半球に、冬に追いついたのだ。

二、三の質疑応答はあったもののビザを取っていたこともあり入国審査は無事に終わった。ニューヨーク行きの飛行機に乗りこみ腹ぺこだったので機内食が出ないか期待したが有料だったので全員に配られたワッフル一枚で飢えをしのぐ。着陸態勢に入ると眼下に摩天楼、そして自由の女神が見えた。

鉄道でペンシルバニア駅まで出て地上に出ると懐かしい光景が広がる。そうか、通っていた語学学校がこの近くだったか。小さいくせに2ドルもしたダイエット・コークの蓋を開けて冷えた空気と煙草の煙を混ぜて吸い込んだ。

メトロのRラインに乗ってサブレット先の家に向かう。到着予定を午後3時と伝えていたのでまだちょっと早いか。地上に出て腹ごしらえを出来そうな店がないか見渡すと中華とマクドナルドの看板が目に入る。マニサレスで連れ立ってレストランを探していた時はマクドナルドなんて食べたくないと言い張ったが何故か今無性にあのジャンクな味が恋しかった。

荷物を置いて近くのスーパーで食料の買い出しを済ませたらもう薄暗くなっていた。腕時計を見て思い出す、今日は金曜日だったと。近代美術館が午後4時から無料になるのだ。ネットでHPを見てみると通常料金が大人25ドルと絶句しちゃう価格だったので急いでメトロに乗ってマンハッタンに引き返すことにする。

ちょうどジャクソン・ポロックの企画展をやっていたが嫌いじゃないけど昔見た時ほどの大きな衝撃はなかった。それよりも東松照明の被爆者の写真と志賀理江子の一部屋まるまる使った展示に心を奪われる。

そしてなんといっても今回一番の驚きはモネの睡蓮、カタログや写真で見たことはあったのだが「淡くてパステル」ぐらいだったそれまでの自分の印象をがらっと変えた。そんなかわいらしいもんじゃない、実物には薄皮一枚のゆるふわさの影にぐつぐつしたえぐみが潜んでいた。圧巻の一言。

ミュージアムショップで物欲の開放をするべきかと何度も葛藤してから帰路につく。夜が更けて一服するために外に出るとちょっと洒落にならないくらい寒くて寒くて、でも冬に外で吸う煙草が一番美味いなと改めて思う。雪がないことだけが心底残念な、冬のニューヨーク初日。

 

Mount Kimbie – Before I Move Off


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