DAY 239 The history can’t be ignored.

十日ぶりの夏だった。常に長袖だったイスタンブールと違ってアテネはまだTシャツにハーフパンツ、ビーサンでちょうどよい。ずっと履き続けていたジーンズをごしごしと洗ってベランダの手摺に干す。この光の熱さなら半日もあれば乾きそうだった。

卵を焼いてパンにジャムを塗って食べた。これから何も考えず気軽に外食をしたりテイクアウト出来ない国が続くのかとちょっと溜息が出てしまう。さあ、パスタまみれの日々の始まりだ。

出かけるのがちょっと遅かったので遺跡の観光は明日でいいかな、とりあえず適当に歩いてみよう。中国系の店が並ぶ通りを抜けて公園でちょっと休憩しながらクリケットに熱中する若い男たちを眺める。ギリシャでクリケットってなんか奇妙な組み合わせ。

ゆるい坂道を上っていくと観光客と露店が増えてきた。がっちり抱擁しながらねっとりディープなキッスをかますカップルの背景には小高い丘があり、小さく神殿が見えたのでアクロポリスの近くまで来ていたことに気づく。

遠目からでもなかなかの存在感だった。正直アテネってちょっとしょぼくれてるなあと思っていたのにがらっとイメージが変えられ、歴史侮りがたしと実感。

 

Toro y Moi – Still Sound

 


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