DAY 171 Vodka, Kiss, and Dance.

朝食を食べ終えて外で煙草を吸っていると残念なお知らせが舞い込んできた。やはり今日もアフガンバザールはやらないらしい、と。宿に滞在している旅行者の多くが落胆した瞬間だった。

アフガンバザールは毎週土曜日ここイシュコーシム、あるいはホーローグのアフガニスタン国境で開催されているのだがタリバンの活動などによる情勢悪化でここ最近はずっとやっていないと聞いていた。昨日の夜に宿のマネージャーに聞いたら当日にならないとわからないと言われたのでもしかしたらと期待していたがそんな簡単に情勢が変わるわけはなかった。

ちょっと悔しいので宿にいる何人かと一緒に町外れにあるアフガンバザールの(開催されていたであろう)場所へ。アフガニスタンへ続く橋のゲートは固く閉ざされ兵士が何人か警備しているだけの寂しところでからっ風が強く吹きつけているだけだった。

 

だらだらしていたらもう夕方が近くなっていた。昼食も取っていなかったので町へ繰り出し適当に何か食べられるところを探していると一人の爺さんが近づいてきた。自分のカメラを指差して「ちょっと写真撮れ」と催促してきたのでシャッターを押して画像を見せるといきなり腕を組んでどこかに連れて行こうとする。どこに行くのかと尋ねると爺さんは首筋を指で弾いて「ウォッカ」と言いにやりと笑った。

恋人同士みたいにがっちりと腕を組まれたまま細い路地を歩いていくと小さな商店があり、爺さんが一言呟くとウォッカとショットグラスが出てきた。一瞬で飲み干した爺さんに続くとすぐにおかわりが注がれ、自分は固辞しようとするも結局また飲み干す。そんなやり取りを数回繰り返した。

いい気分になって二人で店の外に出た。爺さんは再び腕をがっちりと組んでどこかに連れていこうとするが腹が減っていたのでここで別れようと身振り手振りで伝える。すると顔を近づけてきたので「ああ、あれかほっぺたくっつけるやつ」と思っていたら頬がひんやりするくらいブチュッとされてしまった。

そのまま近くにあったカフェに入ってマンティを注文して席につこうとすると今度は婆さんが「日本人?踊りましょう!」とかなんとか言って音楽を大音量で流し始めた。結局マンティが出てくるまで婆さんと二人奇妙なダンスを繰り広げ、さっき飲んだウォッカのせいで世界が揺れて見える始末。なんだかおかしな一日だった、楽しかったけど。

 

Justus Köhncke – Parage


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