DAY 167 Bulunkul

ドラム缶の上に細長い廃材の板っ切れを載せただけのシーソーで子どもたちと遊んで、いや正確には遊ばれていた。いい加減疲れてきたので引き止める子どもたちから逃げるように車のほうへ戻ると「この村で一泊してもいいぞ」とドライバーのエブラヒムが言う。本当はランガールまで行く予定だったのだが一緒に来た他の旅行者たちと相談すると全員一致でここブルンクルに一泊することが決まった。

温和そうなお母さんの家にお世話になることが決まり荷物を運び込んで村の外に出た。村を囲むようにそびえ立つ山々の中で一番ぐっとぐわっときた山に向かって一時間ほど歩いて行くが大きな水たまりのような池に行く手を阻まれたのでとぼとぼと引き返す。村に戻る途中につがいらしき黒と白の二匹のヤクに会ったが写真を撮るために近づく素振りを見せたら逃げられてしまった。まさか翌日に彼らとあんな形で再会するなんてその時は夢にも思わなかったのだけれど。

再びシーソーで遊び遊ばれ、脚の筋肉がプルプルしてきたところで子どもたちに勘弁してもらう。村の中央の広場に行くと若い男たちがバレーボールに熱中していた。お前も入れと誘われたが足を引っ張ることが目に見えていたので遠慮して近くの日陰で見物に回る。すると明らかに暇を持て余しているらしい小さな女の子たちがこっちに駆け寄ってきた。二人ともさっきのシーソーの時には見なかった顔だった。

二人は青い毛糸を持っていてあやとりの相手をしろとせがんできた。が、毛糸の長さが足りていないせいであやとりというよりただの毛糸いじりなのにげらげら笑いながら熱中している。毛糸いじりに飽きてなし崩し的に始まったにらめっこではこちらが白目を剥いてやるときゃーきゃー言いながら逃げ回ったり、そこらへんに落ちている棒っきれやプラスチック片を真っ二つに折れるか競ったりと忙しい。何が楽しいのかわからないが、楽しそうにしている二人を見るのはものすごく楽しい。

あれ、子どもと遊ぶのは嫌いじゃなかったほうだけどこんな長い時間遊んだことってなかった気がする。最近読んだうさぎドロップのせい?多分そうだろう、絶対にそうだと信じたい。じゃないと「いい加減おっさんだしこれくらいの子どもがいてもおかしくない」という現実が現実味を帯びすぎて溜息すら出なくなりそうだ。

 

モーモールルギャバン – 愛と平和の使者


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