DAY 132 On a bright day.

階段を駆け上がってホームに飛び出した自分の目の前をオシフェンチム行きの始発列車はゆっくりと横切っていった。無意識のうちに両腕を上げていることに気づいてちょっと恥ずかしくなり、誰にも見られていないことを確認してからそっと下ろす。まさかポーランドでリアルにお手上げするとは。

暖かな陽気だった。緑あふれるオシフェンチムの町を歩いているとこれからアウシュビッツに行くことに現実味を感じられない。それくらいとてものどかだった。

「ARBEIT MACHT FREI」の門をくぐり、建物の中に入って展示を見ては出てを繰り返していく。比較しても全く意味がないとわかってはいるが、先月に行ったルワンダの虐殺記念館で生々しさを間近で強く感じたのに対しここアウシュビッツではある程度長い年月が流れたのにも関わらず澱のように深く沈んだ陰鬱さをじわじわと感じた。

シャトルバスに乗ってビルケナウの第二収容所へ。ドラマ「白い巨塔」で雪が積もるビルケナウを唐沢寿明が訪問したシーンと今目の前にある風景が同じだとはとても思えない。きっとこの青い空と強い日差しのせいだ。

汗だくになってぐるっと周ってビルケナウを後にした。駅までそんなに離れていなかったので歩くことにしたのだが、今さっき見てきた収容所跡とのんびりした町並みとのギャップが大きすぎて何度もくらっとする。電車に乗り込んだらすぐに深い眠りに落ちてクラクフに戻るまで一度も目を覚まさなかった。

 

John Frusciante – Leave All The Days Behind


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