DAY 114 Repeat, and repeat.

隣の座席の男の身体はプロレスラーみたいに大きく、だからだろうか窓側の席を譲ってくれた。乗り込んでから一時間ほど待ってようやくバスは出発した。まだ夜は明けきっていない。アディスアベバを抜けるのを待たずに眠りに落ちていた。

流行っているらしいエチオピアン・ポップスが延々とスピーカーから流されている。車内に設置してあるモニターにはそのミュージック・ビデオが映っているが控えめに言って映像のクオリティは低く、90年代のカラオケ・ボックスを思い出させた。カットは目まぐるしく変わるがまるで中身の無い、使い古しで使い回し。

バスから降りて目的のホテルまで歩いていると人々の視線が突き刺さる。何度も繰り返してきたおかげで動じることはないが慣れるものでもない。そしてその視線に馴染み、ある程度土地勘ができたところでまた去っていくのだ。そう考えると真冬の雪かきみたいに不毛なことをしている気がして萎えてしまうが、そんなことより早くホテルで荷物を下ろそう。

チェックインを済ませた後に近所のスークでコーラを買って栓を開けてもらい煙草に火を点ける。一人の男が通りすがりに煙草を一本せびってきて、なんとなく断ったらわりと粘ったので一本差し出すとなりゆきでシガーキスまでさせられた。やれやれ。

 

Tortoise – TNT


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