バリカンの刃先が額の生え際に向かった瞬間ぎょっとした。しかし床屋の男の手はそこで止まり、ゆっくりと丁寧に産毛だけを刈っていった。なるほど、エチオピアではちょろちょろと産毛を生やすのはクールじゃないらしい。
オーダーしたのはサイドと後ろだけの刈り上げ。結果、予想に反してといっては失礼だがオーダー通りの完璧な仕上がりになったのでちょっと多めにチップを渡した。三ヶ月前はラオスのヴィエンチャンではちょっと高めの美容室に入ってやってもらったが腕前的に全然遜色ないし、むしろ上手いぐらいだ。
こざっぱりしたあとでエチオピア航空のオフィスにチケットを買いに行く。カウンターの前に置いてある椅子に座って自分の順番が来るのを待っていたのだが、隣に座っていた女性が三度見してしまうくらい別嬪さんだった。
ストレートでロングな黒髪はおそらく自前ではないのだろうが、目鼻立ちもくっきりしていてスタイルもよく褐色の肌に黒いワンピースのドレス(しかもざっくりとスリットあり!)がよく似合っていた。
が、彼女の手元のiPhoneのホーム画面が見えてちょっとげんなり。もろにカメラ目線の自撮り写真がわりとでかめに設定されていた。あらら、そんだけ綺麗に生まれたら気持ちもわからんでもないけども。振り回され弄ばれ手のひらで転がされるのが大丈夫な奴じゃないと彼女のボーイフレンドは務まらないんだろうなあ。
Flipper’s Guitar – Haircut 100
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