物売りや物乞いたちはひっきりなしに車内に入ってきてまた出て行った。隣に停車しているバスの屋根の上では男たちが荷物にビニールシートを掛けている。ゴンダール行きのバスに乗り込んでもう一時間以上、いまだにバスは発車しない。
やっとバスが出発した。運転手がオーディオでエチオピア音楽を大きめの音量で流し始めたが結構好きな感じの選曲なので全然気にならない。町を抜けると車窓から見えるのは草原、丘、牛、牛、牛、山羊、山羊、そしてたまに人。
ゴンダールに到着してバスを降りると少しひんやりした空気に包まれた。迎えに来てくれた車に乗り込むとシートはまだビニールも外されていない新品で、さっきまで乗っていてたバスと比べ物にならないくらい座り心地がよい。
お邪魔した家のリビングでかかる音楽はレゲエやダブだった。ゴンダール産のダッシェンビールを飲みながら、身体はずっとゆらゆら横に揺れている。聴き覚えのあるイントロ。この曲を演奏するバンド目当てで10年以上前の夏に静岡の田舎のほうにある海岸まで鈍行電車で行ったことを思い出した。
Dry & Heavy – Bright Shining Star
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