DAY 079 My first time buying pictures.

もう曇り空も見慣れてきてしまった。歩いていて自然と水たまりを避ける癖がつき、雨がひどくなれば軒先かカフェに避難する。ビーチにいるのなら落胆するところだがここはストーン・タウン、意外と雨ふりでも充実した日々を送っている。

 

海沿いの道を歩いていると一件のギャラリーが目に入った。入口の看板にはザンジバルアート展との表記があり、中に入ってぐるりと作品を見て回る。展示してあった絵の中で複数の作品のモチーフになっていたのがイスラム様式の門で、実際に歩いていて時々立派な装飾に見入ることがあった。

出口の近くに比較的サイズの小さい絵をずらりと展示しているスペースがあり、絵の裏には値段が書いてあった。気になる絵を見つけたら値段を確認して、というのを繰り返していると一人のマダムが声をかけてきた。どうやらこのギャラリーのマネージャーらしく、「いいのあったらディスカウントするし言ってね」だそうだ。

マダムと話しながら順番に見ていると、門を描いた作品だが明らかに他の写実的な門とはタッチが違う絵を見つけた。まじまじと見つめ、マダムに値段を聞いたらちょっと安くしてくれるらしい。このジャマールという画家の他の作品はないのかと尋ねると壁ではなく無造作に机に積まれた絵の山から二枚ほど引っ張りだしてきてくれた。

一枚はストーン・タウンの風景を門の絵と同じくやや抽象的なタッチで描いたもので、もう一枚がどこかの島か村にいるマサイの酋長を描いた絵だった。酋長の絵の色使いや光と影の表現に目を奪われ、いつの間にかマダムと値段交渉を始めていた。

昨日あれだけ土産を買ったからもう今日は郵便局で送るだけだと思っていたのに、結局門と酋長の絵をどちらも購入してまた送る荷物が増えた。ポスターや複製ではなくオリジナルの絵を買ったのは人生初だ。これは何が何でも来年無事に帰国して絵と再開せねばなるまい。

 

郵便局の午後の営業時間まで少し時間があったのでジョーズ・コーナーに立ち寄ると一昨日会ったコーヒー屋のせがれを見つけたので一服することにした。煙草をせびられたので一本渡して二人で煙を吐く。

せがれ曰く「俺は毎日朝に3杯、昼に3杯、夕方から夜にかけて10杯くらいコーヒーを飲んでいる」らしい。続けて「俺の血はコーヒーでできている」と言い、せがれには申し訳なかったが笑いをこらえるのに必至だった。かっこいい台詞なんだけどもろに川島なお美フューチャリングですやん。ああ、まさかザンジバルで川島なお美について考えるなんて夢にも思わなかった。

 

Deep Dive Corp. – Laugh


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