ベッドから起き上がると身体の芯まで沁みこんでいた疲れはだいぶ解消されていた。天気が良かったのでどこかビーチに行こうという話しになりよさげなホテルを予約して、ストーン・タウンでタコが入ったカレーを食べてダラダラという乗り合いバスに乗った。
車窓から眺めるザンジバルは集落がほとんど途切れることがなかった。一時間ほどでダラダラを降りて少し歩きホテルに到着。いわゆるリゾートホテルではなかったが中庭には綺麗なプールがあり部屋はエアコンがよく効いて快適さはじゅうぶん保証されていた。
日が落ちる少し前まで涼しい部屋でのんびり過ごし、サンセットを見にビーチに出た。砂浜はフォトショップでイエローの彩度をゼロにしたみたいに白く、海はひたすらに青く水平線に沈みかけた太陽は空を赤く染めていた。ガールフレンドが隣にいたらポケットから指輪を取り出して甘い愛の囁きを恥ずかしげもなくかませてしまう、ロマンティックなんて言葉では追いつかないくらいのシチュエーションだった。
日が暮れてそのままビーチ沿いのレストランに入る。グリルされたロック・ロブスターはぎゅっと身がしまって濃厚な味わい。夜空を見上げるとオリオン座は三つ星が縦に並んでまるで横たわっているように見えた。
会計に来たウェイトレスの女の子の喋り方はとても丁寧で知的な喋り方で、テーブルに置いてあったランタンの光で照らされた横顔を見た時に無性に一枚撮りたくなる。了解をもらってファインダーごしに彼女と目が合った瞬間に素敵な一日が素敵な終わりを迎えたということをボタンにかかった右手の人差し指から感じた。
奥田民生 – スカイウォーカー
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