DAY 014 Happiness is …

同室の誰もがまだ目を覚まさない時間に目を覚まし、朝食の時間まで夢と現実の間にある目立たない隙間みたいな場所で音も立てずにじっとしていた。7時ちょうどに食堂に行きスクランブルエッグとトーストのセットを頼む。料理が出てくるまでの間外に出てカウチに座り、煙草に火を点けゆっくりと煙を吐き出した。すると煙と一緒に「Happiness is a warm gun…」とビートルズの曲のフレーズが無意識のうちに出てきた。

朝食を平らげ再び外のカウチへ。さっきのフレーズはおそらくこのラオスの日々に満足しているから出てきたのだとは思うが、銃という比喩が何を示しているのか気になったので検索。すると銃は性交やヘロインの隠喩であるというなんとも物騒な解釈が出てきでびっくり。あれ、確かに出発してから2週間ばかし女っ気ほぼゼロだったからいろいろと溜まってんのかなあ。これはいかんですなあ、でもだからといってどうにもならんですばい。

エアコンの動作音だけが響く部屋に戻りベッドの上でぐだぐだ。チェックアウトは11時だし10時になったら荷物まとめるつもりだった。少しずつ同室の人間が起きて部屋を出ていき、気づけばドアは開け放たれており外の光が滲むように部屋に広がっていた。

向かいのベッドの昨日ずっと象の絵を描いていたシャノンが戻ってきた。シャワーを浴びた直後だったらしく、気を使って外にでようかと尋ねたら大丈夫よ紳士さんとの答え。その前にチラリと見えてたんだけどさすがにもう中学生じゃないので後ろを向いて待つ。

その時ふとさっき調べたHappiness is a warm gunの歌詞の意味を思い出した。むむ、別にあれこれしようというつもりはないけどここで何かアクション起こさないと精神衛生上まずいのではないか。ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられんの心で「出発してから君のような綺麗な女の子の写真撮ってないわー。撮っていい?」とアイキャンフライ。

こんな我ながら阿呆な申し出にシャノンは快くオッケーしてくれ、シャッターを切り始めた。いや、ほんとズームレンズ持ってこなくてよかった。35mmの単焦点でよかった。だって近寄れちゃうからね。近寄らないといい構図で撮れないんや!しゃーないんや!シャノンも途中からノッてきてスピーカーで流していた音楽に合わせて歌い出したりと、まさにhappinessを体現する時間だった。

まあでも撮影が終わって自分の荷物のパッキングに取り掛かったら持ってきた液体洗濯洗剤の蓋がちゃんと閉まってなかったことを発見し、寝袋を中心に結構な被害が出ていることを発見しちゃったので神様はちゃんと見ておられました。頼むよ布袋さん!とちょうど心臓の前に揺られている彼を見つめてもただ笑っておられるだけです。

てんやわんわでなんとかチェックアウトし、後はピックアップが来る17時まで何もすることがない。初日に食って美味しかった再びパッタイを食べに行き、自分の厄落としがてら公園で幸せそうにキャッキャしていた地元のカップルを撮った。ついでにたまたま見つけた美容室で秩序なく伸び放題だった頭のサイドと後ろだけバリカンで刈ってもらってすっきり。

宿に戻って物干し場件砂場でシャノンが日光浴しているのを横目に多分最後のラオビールを飲む。ああ、バンコクに戻るバスに本当に乗りたくない。明日は友人と待ち合わせているのに。でもなあ、野郎との約束より美女と何か起きる可能性を取ったほうがナイスガイだよなあと煩悩と少し激し目の格闘。でもあれだ、しつけの良い子は長居をしないんだよ。

 

The Beatles – Happiness Is A Warm Gun


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