DAY 382 Filet mignon!

昨日は夜行バス明けなのにはしゃぎ過ぎた。たっぷり8時間は眠ったはずなのにまだ寝足りない。朝食の後でもう一度眠り、起きてスーパーに買い出しに行ってパスタを茹でる。

キッチンに置いてあったのは久しぶりに切れない包丁、いつもならいらいらするところだがもう数日で自炊生活とはさよならなのでむしろその切れなさがちょっと愛おしい。うそ、別に愛おしくはないです。

昨晩一緒だったティナが夕食に連れて行ってくれることになり友人の家へ。真新しいフォードのSUVの運転席には恰幅のいい男性が座っており彼が話しに聞いていたティナの彼氏トトロだとわかった。もちろんあの宮崎産トトロに由来していて彼女のティナも普段からトトロと呼ぶ定着ぶり、まあ実物と対面したら納得です。

ギリシャ系カナダ人の二人が行きつけのギリシャ料理店へ。思えばニューヨークで最初に滞在したアストリアもギリシャ人街、そして数カ月前にはアテネに一週間とわりと縁があるくせにギリシャ料理は未だ未経験。

前菜の盛り合わせの後に運ばれてきたフィレミニヨンのステーキはもう絶品の一言だった。プレートの上には他にもサラダ、ポテト、米、エビなど盛り沢山で胃がはち切れるまで食べてしまう。この一年の中で最も素晴らしい夕食だったと言い切れる内容だった。

重たくなった胃を抱えて車に乗り込む。全員がわりとヘビーなスモーカーなので友人の家に言ってまったり煙草でも吸おうという話になったのでお酒の話題になる。「二人はほとんど飲まないよ」と教えてもらったのでじゃあコーヒーだなと思っていたのにトトロが「好きな酒は何だ?」と聞いてきた。

深く考えずに「アニスのやつとか好き、ペルノーとか」と答えるとしばらく後で彼は何も言わずに街角に車を停めて外に消えた。ちょっとしても戻ってきた彼の手にはリカールの瓶が握られていて、さっきもご馳走してもらったのにさらにドン!でもう感謝と恐縮の極みをさらに極める。

トトロの仕事は同業他種ということもあり自分の写真を見てくれた彼からのアドバイスは「Sato, you should make a story.」だった。写真のクオリティも大事だが見る人がより求めているのはその裏にある物語なのだと。その意見には全くの同意、でも個人的にあまり物語性を協調したくない気持ちも強いので難しいところだ。

友人の家をお暇した後にホステルまで送ってもらったのだが彼らはわざわざ夜景スポットの丘に寄り道してくれた。三人で煙草一本ぶんの時間だけ夜景を堪能してすぐに暖かい車内に駆け込む。別れ際にトトロはまた「Sato, don’t forget to make a story」と言った。

 

Bonobo – Towers (Ft. Szjerdene)


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