DAY 318 Quiet beginning

風の音が耳に飛び込んできた。目を開けると部屋の電気が点けっぱなしだったことに気づく。外し忘れたコンタクトレンズを外し一服してから寝直そうかと思ったが面倒だったので電気を消す。意識は深い穴に吸い込まれるように落ちた。

明るくなって部屋から出ると相変わらず風は強く吹いていた。サンペドロに来て間もない頃にもこんな風が強く吹きつける日が数日続いたことを思い出す。朝と昼兼用でパスタを食べていたら宿の子どもたちが寄ってきてあれこれ聞いてきたのでスペイン語の練習がてら相手をしてもらう。彼らに付き合っていたら食べかけのまま忘れられたパスタはすっかり冷たくなっていた。

散歩がてらメルカドの近くのパルケを覗くとクリスマスの時と同じように大勢のマスクマンたちが踊っていた。ちらっと見てアイスを買ってホテルに戻る。パルケのほうは賑わっているが路地に入るとやけに静かになるのは昨晩騒ぎ疲れて皆グロッキーだからなのだろうか。

外の椅子に座ってラップトップを開いていると同じホテルの顔見知りのドイツ人の男がやって来た。「お前行かないのか、コズミック?」「ダークサイケは好みじゃないのよ。しかしパーティーピーポーがいなくなって一昨日から静かやね」とのんびり話す。

彼の部屋がある建物には一昨日まで数人の日本人のはっぱ隊が滞在していて、隊員たちはテラスで昼夜問わずにでかいスピーカーから明らかに迷惑な選曲を迷惑な音量で垂れ流していたのでその話を振ると顔をしかめたので彼も大層ご立腹だったようだ。たちの悪いことにテラスは汚しっぱなしでいつも放置だったらしく彼と二人で「想像力のない人間はこれだから…」と溜息をつく。

夜、残った食材でカレーを煮込む。最近ずっとパスタ続きだったので作りすぎて二人前くらいあったが綺麗に平らげた。片付けてお湯を沸かし紅茶を淹れて煙草を巻く。元旦はのんびりしてこその元旦だわ。

 

The Smashing Pumpkins- This Time


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