サンペドロ最後の朝、いつも通りお湯を沸かしてコーヒーを淹れてパンを食べた。二週間前に買ったマグカップと皿は置いていけば誰かが使ってくれるだろう。しかしこんなに荷物が増えるとは思わなかったな、参った。これで明日メガパカでまた何か買おうとしているのだから救えない話だ。
定刻で発車したチキンバスは来るときと同じくバンプでびょんびょん跳ねてその度にケツが座席に叩きつけられて痛い。途中で一度警察に止められた以外は順調でシェラには思ったより早く到着した。
とりあえずコレクティーボを捕まえようと歩き出すと運良く一台の青いバンが停まってくれた。運転手の男とドアの開閉をしてくれる男の子は親子なのだろう、車内の雰囲気も和やかで気分が良くなり要求されていないのに荷物代代わりに二人分の乗車賃を払い宿の近くで降りた。
チェックインして管理人の女性に今日の晩飯を聞いたらカツ丼という答えが。思わずちょっと叫んじゃった。これはコンディションを整えて挑まねばならぬ、まだ食べていなかった昼食はタコスで軽めに済ませることにしよう。
万全を期して口に運んだカツ丼は絶品で黙々と平らげてしまった。ああ、これ余裕でもう一杯食えちゃう。あるていど皆が食べ終わったところで敗者東名の洗い物係と一人ぶんだけ残ったカツ丼を食べられる勝者を決めるじゃんけんが始まった。
結果は早々に負け、でも洗い物は逃れるというなんだか中途半端な感じ。ああ、ほんと食いたかったカツ丼。でもこれは「年も年なんだから腹八分目をそろそろ覚えなさい」という神様のありがたいお告げなのかもしれない。ただ悔しいことに変わりはないので食後の踏み台昇降運動でなんとか発散させた。
Aphex Twin – Delphium
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