DAY 066 The World is Mine.

まだ涼しいうちに自転車を借りて漕ぎ出した。前傾姿勢にならずとも乗れるママチャリは妙に風景にマッチしていて、シーギリヤ・ロックの入口を通り過ぎてしばらくすると平ぺったい大岩の麓にピドゥランガラ寺院の入口が見えた。

500ルピーでチケットを購入して石段を上り始める。一段一段の高さがあるので足に力が入りすぐに息切れしたが30分ほどで大きな涅槃仏に出くわした。

涅槃仏の先の道は獣道になり人が歩いて踏みしめられた跡を辿って行く。やがて岩場になり、これから先の道を登って大岩の上に出れるのか確証が得られずに少し立ち往生。すると上から誰かの話し声が聞こえて来たのでそちらに向かうと携帯片手のガイドらしき男がいた。

ガイドの後ろでは年配の白人グループが岩場を降りている最中で、彼らに「ここ登ったら岩の上に行けるん?」と聞いたらイエスと言われたので恐る恐る岩をよじ登った。

どうやらさっきの岩場が最後の難所だったらしく、よじ登ったらすぐに視界が開けた。見渡す限り続くジャングルの中に悠然と佇むシーギリヤ・ロックは何かの手違いで落っこちてきてしまった大きな隕石みたいだった。

風がとても気持ちよく、日陰に座って水を飲み煙草を巻いた。煙を吐きながらこんな大きな岩の上に王宮を建てた昔の王様のことをぼんやりと考える。確かにこんなでかい岩の上に一度立ったらそりゃむくむくと権力欲やら征服欲が出てきちゃうだろうが、ひーこら重たい建材を運ばせられた当時の民はたまったもんじゃなかっただろう。建設中は至るところで王様はディスられまくっていたと思われる。

白人のカップルとガイドが登ってきたので絶景を一人占めする時間は終わった。岩場を降りて麓に戻ろうとしたのだが上りでは周囲の風景や目印を覚えている余裕がなかったのですぐに道に迷ってしまう。獣道らしき道を行ってもすぐに行き止まりになったり崖になったり。さっきのガイドが「よく一人で来たな」と驚いていたわけだ。

試行錯誤しながら上ったり下ったりを繰り返したがついにギブアップ。岩場のところまで戻ったら誰か来るだろうと思ったらちょうど白人カップルたちが下りてくるところだった。九死に一生、捨てる神あればなんとやらだ。

「いやあ、道に迷っちゃてさHAHAHA」と彼らに便乗させてもらったのだが上りと違って下りはあっという間で20分もかからずに麓に到着。朝に自転車を借りた商店に着くころには汗びっしょりで、よく冷えた瓶のスプライトは昨日飲んだビールなんか目じゃないくらい美味かった。

 

くるり – ワールズエンド・スーパーノヴァ


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です