部屋では繋がらないWiFiを拾いながらリビングでラップトップをいじっていた。シャワーももう浴びたし日付が変わったらもう寝ようかなと思っていたところに一件のメッセージ。写真学校時代の同級生から「今仕事終わったからこれから一杯どう?」と。答えは勿論イエス、ああループスライダー懐かしいなあ。
ホステルの近くまで来てくれた彼と一緒にバーに入る。平日の深夜で住宅街なので中年の客がちらほらといるだけだったが雰囲気は決して悪くなく、若い頃のキース・リチャーズのポスターが貼られていたり古いカメラなど骨董品がごちゃごちゃと並べてあったりと懐かしい匂いがぷんぷんした。
生ビールを頼んで乾杯する。彼とは写真学校を卒業して一度東京で会ったきりでずいぶん久しぶりだった。四年目に入った彼のベルリンの生活の話を聞き、そして大阪の思い出話に花が咲いてグラスが空くペースも早くなる。普段はビールだとそんなに量が飲めないのにこの時はどんどんと喉の奥に流れ込んでいた。不思議だ。
そうだ、彼に会ってとても話したいことがあった。写真学校時代に時々話していたbloodthirsty butchersのこと。もう吉村秀樹が死んでから二年以上経ったが周りにbutchersのことが好きな人間があまりいなくて、ずっと彼と話したかったのだ。
彼は驚くべきことに99年の石狩、ライジングサンに行っていたらしい。しかも福岡から車に乗って。Youtubeで何度あの7月のライブ映像を見ただろう、ちょっとどころじゃなく羨ましい。
さっきまで目の前で飲んでいた中年のカップルが帰って行った。自分たちが最後の客だ。「これで最後だからね」とおばちゃんが出してくれた黒ビールを飲み干して勘定を済ませ、ナイトバスに乗った彼を見送ってホステルに戻った。トイレでビールが小便に変わって流れていくのを見届けてから同室の連中を起こさないようにそっと部屋に入る。ベッドに横たわった瞬間スプリングの軋む音が真っ暗な部屋にやけに響いた。
bloodthirsty butchers – 7月
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