DAY 009 Easy riders go the wrong way.

3日連続で同じサンドイッチ屋で朝食を取り、ラオコーヒーで一服していると一人の若者が同じくラオコーヒーを頼んで同じテーブルに座った。煙草を取り出した彼に灰皿を近づけて、どこから来たの的なお馴染みの簡単な自己紹介。少ししてからやって来た彼のガールフレンドと彼はどちらもベトナムからの旅行者で休暇を利用してラオスに来たとのこと。なかなか微笑ましいカップルで一枚撮りたかったが生憎カメラは宿に置いてきてしまっていた。

正午ちょうどにここ数日ちょくちょくと行動を共にしている日本人の若者とバイクを借り、ブルー・ラグーンへ向かう。バンビエンに来た旅行者の多くが訪れる数少ない観光地のひとつだ。ガソリンスタンドに立ち寄り準備万端、ひたすら南に向けてアクセルを開けていく。とはいってもホンダ・スーパーカブとスズキ・アドレスを足して2で割ったようなバイクなのでそんなに格好はつかないけど。

重たくて窮屈なヘルメットはちょっと値切ったからだろうか、レンタル屋の親父が渡してこなかった。道はお世辞にも良いとは言えないがそんなことは些細なことだ。トラックが巻き上げる砂塵を突っ切ってギアはトップギアのまま。速度計の針は最初からぴくりとも動かず、ただひたすら前だけを見て走り続ける。

早ければ20分くらいで到着すると聞いていたのに一向に着く気配はない。道端で停まってこの道で合っているのか彼と相談し、Google MapでBlue Lagoonと入れてみたところ距離的にまだ半分くらいしか到達していなかった。まあのんびり行くべやと再び走り出した。

しかしみんな行っている観光地のはずなのにバイクに乗っている旅行者と一人もすれ違わず追い越されてもいない。唯一見かけたのは道端でヒッチハイクをしている白人の女の子二人組だけだった。ちょっとした集落や店が何軒か並ぶ通りを抜け、下り坂になり谷のようなところを抜けていく道に入ったところでもう一度相談タイム。

ナビによればBlue Lagoon Resortまであと数分らしいが、我々が走ってきたのは明らかに自転車でも1時間半くらいで行けると聞いていた距離ではない。ブラウザで「ブルー・ラグーン 行き方」と検索すると誰かのブログが引っかかり、中心部から西に向かってという文字が見えた。ん、西?ワタシタチ南ハシッテル。西?

改めて二人でレンタル屋の親父がくれた観光客用のしょぼい地図を見ると中心部から西にBlue Lagoonと書いてあるのを発見。Blue Lagoon Resortはただブルー・ラグーンという名前がついた全く違う場所だったらしい。結果、自分たちはひたすらヴィエンチャン方面にツーリングしてただけということが判明した。

彼と自分はお互い中型二輪免許持ちだったので気持ちよかったしまあいんじゃね、とUターンして来る時よりもスピードを上げてバンビエンに戻った。道中は巨大な工場があったり牛の大群の横断を待ったり観光客とは無縁そうな子どもたちの通学風景が見えたりと、観光地にいたらあんまり見えない景色が見れたと思う。

中心部に戻って昼飯を食べて今度こそブルー・ラグーンに向かった。悪路とは聞いていたがさっきまで走っていたバイパスがかわいく見えるほどで、気分はファミコンの名作ソフトのモトクロス。シートから腰を浮かせ膝で衝撃を吸収するようにしつつ時々転がっている大きな石や大きく陥没した地面などのトラップを回避していき、30分弱走ったところでめでたく目的地に到着した。

一目散に売店に向かいラオビールを買ってほっと一息。その脇でたくさんの旅行者たちが木に登って湖に飛び込んでいく。ビキニ姿のガールたちが目の前を通り過ぎ、さっき外したばかりのサングラスをもう一度掛けていた。イマイチ飛び込みたいと思えなかった自分は木陰でたっぷり休んだあと一足先に中心部へ戻った。

バイクを返して屋台のBBQの串を一本買って宿に戻りシャワーを浴びる。さっぱりしたところで晩飯はどうしようと考えたが、米や麺より肉が食べたくてさっき食べたBBQをもう一本買いに橋を渡った。

バンビエン初日にウシーたちとビリヤードで勝負したバーの前を通りがかると聴き覚えのある曲が流れていて思わず立ち止まる。Cinnamon ChasersのLove Deluxeだった。その曲のロードムービーみたいなMVを思い出し、自分も今日はロードムービーみたいな一日だったことに気づく。相棒もいたしちゃんとトラブルもあったけどヒロインがいない、ニンニクが効いていないペペロンチーノみたいなロードムービー。

 

Cinnamon Chasers – Luv Deluxe


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