ブダペスト行きのバスに乗り込むと添乗員がコーヒーを持ってきてくれた。スロバキアに入ってコーヒーの無料サービスがないところばかり泊まっていたので飲むのは一週間ぶりだった。思いっきりインスタント、でも美味い。
正午過ぎにブダペストに到着してとりあえず一本煙草を巻いた。調べるまでもなくホステルまでの行き方は頭に入っている。青ラインのメトロに乗って、デアークの駅で黄色ラインに乗り換えてオクタゴンで降りる。何度か通ったピザ屋の前でいいにおいを嗅いだ瞬間に今日の昼飯が決まった。
日付が変わって深夜、リビングで行われていた酒盛りから抜けだしてカメラを持って外に出た。ブダペストの夜はまだまだ始まったばかり。パブや廃墟バーの前を通る度に音楽と話し声、時々叫び声なんかも漏れ聞こえてくる。
ハローという声。横を見るとまだ幼い少年で、通りの反対側にいる友人とサッカーボールをお互いにパスするように蹴り合っていた。時折ゴミ箱を覗いたりそのへんに置いてあるがらくたを拾ったりしながら楽しそうに歩く彼らの姿は角を曲がったら見えなくなる。
ああ、ブダペストに戻ってきたのだ。戻ってきてしまったというほうが正しいか。まずい、さっさと次の目的地を決めて動かないとまたこの居心地のいい街に居続けてしまう。そしてまた、長居しちゃったらしちゃったでいいやと心のどっかで思ってたりするのが我ながら手に負えない。
SCSI-9 – Vesna, Lastic & Elliott
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