失われることが決まっているかもしれないことについて

心斎橋のBIG CAT、もしかしたら10年以上前の元ちとせのシークレット・ライブ以来かもしれない。行きの阪急電車は淡路一歩手前の相川駅で緊急停車。どうやら十三あたりで踏切事故があったらしく、しばしの間車内に閉じ込められた後アナウンスがあり扉が開放された。

ごった返す改札をくぐり抜け、他の乗客たちが歩いている方にとりあえず一緒に歩いて行く。マップを起動するとJR吹田駅まで約1km、開演ギリギリで入場しようと思っていたのでERRORSのスタートには間に合わないことが確定してしまった。少しでも遅れを取り戻そうと走っては歩き走っては歩き、なんとかBIG CATに着いたことには一仕事終えたみたいな気分になった。

重たい防音扉を押し開けるとフロアの密度は思ったより高く、出遅れたしちょっと疲れてるしということで最後方からのんびりとERRORSを観る。最後の曲なんか物凄くかっこよかったけれど、どうにもテンションが上がらないのでお目当てのCHVRCHESに備えようと頭を切り替えた。

長めの転換が終わり(たぶんTanlinesが流れていた!)、逆光のシルエットと共にCHVRCHESの3人が現れた。だがしかし、2曲目が始まった頃にどうにもトイレに行きたくなり一時離脱。ついでに一服しようと喫煙所で煙草に火を点けた瞬間、このライブに行くことを決めた曲のイントロがフロアから聴こえてきて走って中に戻る。

みんなボーカルのローレンを間近で見たいらしくフロアの後ろの方はちょっと踊れるくらいスペースが空いていたのでそこに陣取る。自分もトイレに行かなければわりと前でご尊顔を拝めていただろうけど、身動きが出来ない状況はやはり楽しくないのだ。

ボーカルはもちろん後ろの音のバランスも良かったので3曲目のGun以降はずっと踊りっぱなしで、なかなか満足感の高いライブだったと思う。そしてこのタイミングでCHVRCHESのライブを観れて本当に幸運だった。このバンドは良くも悪くも変化していくだろうし(宿命でもある)、おそらく自分が気になって実際に体感した俗にいうバンドの初期衝動やローレンが持つ美しくヒリヒリとした刹那的な存在感はいつかは消えてしまう気がしてしょうがなかったから。

もちろんビョークのような圧倒的な魔女みたいな存在になる可能性も否定出来ないけれど、「やはり 俺はその凛々に やはり おれは 負けるのか」と思わせてくれるライブはとても限られた時期にしか観れないものだと自分は思っている。

蛇足だが観客の中にとてもノリノリなガチムチマッチョ白人男性がいて、彼が自分の近くに移動してきた時に着ている白いTシャツを見たらなんときゃりーぱみゅぱみゅの2013ツアーTシャツだった。ライブ会場でしか買えない逸品だと思われる。きゃりーすげー。


CHVRCHES – Gun


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