バラコアでいくら探しても見つからなかったライターはここサンティアゴでもなかなか見つからなかった。煙草を置いている店や売場は全滅だったので生活用品を置いているところを当てってみる。セントロで探し始めて一時間、発見した時の嬉しさったらもう。
夜、近所のキューバ音楽が聞ける店に飲みに行く。ここの演奏はハバナで聴いたブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブと比べてはより賑やかでハッピーだ。バンドの前のちょっとしたスペースでひっきりなしに誰かと誰かが踊っている。
キューバに来たらサルサを習おうかなと思っていたのだが目の前の光景を眺めていてその気が失せていくのに気づく。この底抜けに陽気な音楽と情熱的なダンスは”ハレ”過ぎているのだ自分にとっては。だから同じ空間にいるのに、楽しんでいるように見せることは出来ているが決して楽しんではいない。
つまらないわけではない。演奏レベルは高いとは思うしサルサの細かくてセクシーなステップを見ているとすげえなあと思う。でもそれだけだ。観察する余裕が無くなるほど、無意識に手足が頭が動き出してしまうような興奮や恍惚は感じない。詰まるところあちら側の問題ではなくこちら側の問題なのだ。
以前友人に「ほんとイワンだねえ。ラテンじゃない」と指摘されたことがあったがまさしくその通り。暖かい国の肯定と受容の空気に包まれたからっとした音楽よりも寒い国の否定と反発の意思を内包した鬱屈さすら感じさせるような音楽が自分は大好きだ。
65daysofstatic – Come To Me
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