DAY 294 A silly mistake, despair, and relief.

夕方、お世話になった宿に別れを告げてバスターミナルに向かう。サンクリストバル・デ・ラスカサス行きのバスは17時半、20分前くらいに行けば大丈夫だろうと思っていた。思っていたのだ、その時の愚かな自分は。

バスターミナルの乗り場で係員のおっちゃんにチケットを見せるとなんとなく怪訝な表情と共にスペイン語で何かまくし立てられた。もちろん何言ってるかわからないので違う係員に見せると同じく何かを伝えようとしてくれる。自分は何番乗り場にバスが来るのか知りたいだけなのだが普段は指差して教えてくれるのでちょっとした違和感。それにバスの発車時刻も迫っていた。

空港行きのシャトルバスのチケットを売っている兄ちゃんが暇そうにしていたので突撃。残念ながら彼も英語は通じなかったが前述の二人と違って目の前にPCのディスプレイがあったのが幸いだった。や、それ自体は幸いだったけど不幸な事実を知ることになるんだけども。

兄ちゃんはディスプレイをこちらに向けてある場所を指差した。そこに表示されていたのがスペイン語じゃなくて数字だったのでもちろん読めた。でもそれはあまりに認めたくない現実で、それゆえに脳は思考を放棄して数秒フリーズする。その数字は18:25で、自分が乗る(はずだった)バスは17:30発、そして自分の腕時計のデジタル表示は17;25だった。

ふらふらと数歩進み立ち止まる。一昨日カンクンに到着してから自分だけずっと一時間遅い時間帯で過ごしていたのか。飛行機の中で時差を調整してカンクンに到着して、そうだ世界時計のアプリを使ったのだとスマホを取り出して確認するとCancunのところが一時間遅かった。こいつが原因じゃねえか。

でも振り返れば予兆はあった。宿を出る少し前にオーナーに「まだ行かないのか」と言われた理由がこれだ。17時半のバスに乗るって言ってる奴が18時まで宿にいるんだからそりゃおかしいわ。

口を半分開けながら、時々「まじか、まじか」とつぶやきながらサービスカウンターに並ぶ。幸い英語が少し話せる女性だったので事情を説明すると「それはビッグプロブレムね」と一言。チケットの買い直しを覚悟していたのに2時間後のバスに振り替えてくれるという。サンキューとグラシアスを何回言っても足りん、カンクンのADOのバスターミナルに神はいたのだ。

短時間で絶望からの救済を経験したので精神的にぐったりしながら外で一服。宿に出戻って「恥ずかしながら帰って参りました」と言わずに済んで本当によかったと心の底からほっとした。

 

Up-C Down-C Left-C Right-C ABC+Start – Not Of The Fallen


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