DAY 095 the sense of stagnation

キブ湖の遊覧船乗り場の近くを歩いていると湖岸の茂みの向こうから声を掛けられた。周りには誰もいなかったので自分が呼ばれているのだと気付き声のする方に近づいてみる。

そこには若い男が携帯電話のスピーカーから音楽を流しながら一人立っていて、「ここは水も綺麗だし写真を撮るにはいいところだぞ」と話しかけてきた。てっきり何かの勧誘かと思ったが単純にこの場所が彼のお気に入りの場所で呼んでくれただけらしい。

お互いにそこらへんの岩の上に腰掛け、煙草とビスケットを勧めた。「おれはキブイエで生まれたんだが仕事がなかなか見つからないんだ」と彼は言う。「この町の人口は少なすぎる。人が少ないからマーケットすらないし、技術者になりたいがそんな仕事はここにはない」と愚痴っぽく彼は話した。

旅行者の目にはキブイエは綺麗な湖があるリゾートっぽい田舎町としてしか映らないが、住んでいる側(観光に携わっていないのなら余計に)からすれば全然違う。静かでいいところだが観光だけで成り立つようには見えないし他に何があるわけでもない。実際に小さな町を歩いていて息苦しさを感じるのは事実だった。

キブイエに限ったことではなく、ルワンダの中では事情は違えど似たような話はたくさんあるのかだろう。ニャマガベで教えてもらったように国土は狭く咥えて山が多く海に面してもおらず、人口は増え続けているが仕事の数は多くない。主要道路は舗装され治安も良いし経済成長率も高いなど良い面もたくさんあるがそれ以外の現実だってちゃんとある。当たり前の話だ。

彼と別れて町に戻ってレストランに入ると中にはいつもとは違い大勢の男どもがテレビの周りに集まっていた。画面にはプレミアリーグのチェルシー対サンダーランド、どうやらチェルシー贔屓が多いらしくシュートが外れる度に誰かが騒ぐ。レミーが勝ち越しゴールを決めた瞬間に店内は大歓声に包まれた。

 

God is an Astronaut – Grace Descending


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