DAY 071 Creek Under Construction

飛行機が着陸して座席から立ち上がると少し眠ったはずなのに身体は借り物みたいに固かった。パスポートは差し出して10秒で入国のスタンプが押され、メインバッグをピックアップして外に出る。ATMでディルハムを下ろしたのだが寝ぼけて桁を一つ多く押してしまい頭を抱えた。

ターミナル1にバスで移動して重たいメインバッグを預けてからメトロに乗る。ショッピングモールに興味が無かったのでオールド・スークと呼ばれる地域に行くことにした。降りた駅の改札を抜けるとコンビニみたいなキオスクがあったのでサンドイッチとコーヒーを買って外で食べる。

朝が早かったこともあって有名なゴールド・スークにある店のほとんどが閉まっていた。しょうがないので周辺を適当に歩きまわると開店したばかりの両替屋を見つけたので先ほど下ろしすぎたディルハムのほとんどをドルに替える。レートはとても良くて全然損をしなかった。

目の前にベッドがあれば倒れこんで5秒で寝れる自信があったが生憎ベッドで寝るためにはあと24時間ほど待たなければならない。今空港に戻っても時間があり過ぎたのでまたメトロに乗り、終点のクリークという駅まで行くことにした。緑があって日陰が多くて少し横になれるベンチなんかあったら最高だななんて考えながら。

駅の外に出たらそこには緑も日陰もなく、白っぽい砂地がただ広がっていた。まだ開発が始まったばかりみたいで建設中の高層マンションがひどく場違いに見える。

けれどさっき訪れたオールド・スークよりもこちらのほうが歩いていて心が踊った。あたりをぐるぐると歩きまわりカメラを構える自分の姿をダンプカーの運転手が不思議そうに見ている。太陽はどんどん高く上がり、上からの光が白い地面に反射してオーブントースターみたいに身体を焼いていく。渇いた喉を潤すために飲んだ水はやけに甘かった。

Flying Lotus – Kill Your Co-Workers