DAY 049 Fuckin’ bus, Wonderful view, Youkai taiso.

ハンピ行きのバスはなかなか現れず、1時間ほど待ってからやっと乗車できた。バスはパナジを発ってからいくつかの場所で乗客を拾っていったのだが、途中で乗り込んできた白人の男二人が何やら車掌と揉めている。

バスはダブルベッドの寝台が上下左右に並ぶタイプなのだが、彼らの寝台が友人同士なのに離れていて一人の男は自分のいる寝台でもう一人の男の寝台の隣は女性がすでに寝ていてその女性曰く「こっちは隣が女性って確認してチケット買っとるんや。男が隣なんて認めへんでー」とのこと。

そのうち男二人が自分の寝台に近づいてきて「席代わってくれん」と言ってきたので「席移るのは構わんけど隣の人の同意取ってきてね」と答えた。そして彼らは再び車掌の男と交渉し始めたが、生憎バスは満席で車掌も代案が出せない状態。

彼ら二人はチケットを買うとき隣同士になると聞いて買ったのだろうし、女性だって隣が同性だからチケットを買った。こうなるとバス会社のミスなのだが、バスを運行しているスタッフはオフィスの指示に従っているだけでバスに乗っている誰にも責任はない。

しばらくして車掌が「とりあえず君、こっちの空いてるとこに移ってくれんか」と自分に言ってきた。あんた満席って言ってましたやんかと思ったがここで自分がゴネるとバスが出発しないので渋々従うことに。しばらくは寝台を一人占め出来たのだが次の停車地で何人か乗り込んできた際にまた移動しろと言われ、最終的に白人のおっさんの隣で寝ることになった。

経緯はともあれどうにか落ち着くことができたので熟睡していたのだが、深夜3時に突然乗客全員が叩き起こされた。隣のバスに移れ、席は同じだという指示を聞いてもう意味不明。何故こんな真夜中に全く同じタイプのバスへ移動しなければならないのか。理由も謝罪もなくて心底うんざりして、この旅行会社のバスには金輪際乗らないと心に誓った。

バスがハンピに到着して群がる客引きから逃げるようにバス乗り場を後にした。プリーで会った人に薦められたゲストハウスまで歩いて向かい無事にチェックイン。シャワーでも浴びてゆっくりしようと思ったのだが外の寝椅子に寝転んでいた日本人の男性が「これからちょっと離れた滝みたいなとこに行くけどどう?」と誘ってくれた。

聞けば一緒に行く面子の中にはプリーで会って面識のある人も二人いて、これも何かの縁だなと荷物を置いて待ち合わせ場所の船着場に向かう。滝に向かうメンバーは日本人4人、ドイツ人1人と奇妙な構成だ。ドイツ人のティムはハンピ周辺を熟知していて、彼の先導で泥道を越え岩場を越えヘロヘロになりながら歩いていく。そういえば昨日の晩にサモサをひとつ食べただけでハンピに着いてから何も食べていなかった。

辿り着いたティムお薦めのジャンピングスポットはちょっとした湖みたいになっていて、自分は飛び込まずにボクサーブリーフ一枚になってゆらゆらと浮かぶ。くそったれなバスの疲れなどどこかに吹き飛んでいて、周りは全て絶景というべき風景しかなく何度もアホみたいにすげえと呟いた。その後もティムは天然のジャグジーになっている場所などに案内してくれ、我々は心ゆくまで全てを堪能した。

夕方前に町に戻ってレストランで朝食兼昼食兼夕食を済ませ、皆と別れてゲストハウスに戻る。あとはシャワー浴びて寝るだけだと思ったのだが運悪く停電が始まった。シャワーを浴びるにはちょっと暗すぎたので誰かが置いていったであろう村上春樹のエッセイ集「村上朝日堂」を持って向かいのレストランに入り、ラッシーを飲みつつ電気が戻るのを待つ。

本を半分読み終えた頃にグラスも空になったのでゲストハウスに戻ると電気は復旧していて待望のシャワーを浴びる。あとはちょっとラップトップでもいじって寝ようと外の椅子に座っていると宿の男の子サイくんと宿泊している女の子サクヤちゃんがそれぞれの親御さんと一緒に帰ってきた。

皆で歓談していると、サクヤちゃんが妖怪ウォッチ踊りたい!と発言しサイくんも乗り気に。するとサクヤちゃんのお父さんが部屋からUSBメモリを持ってきて「ここに動画入ってるし」と自分に手渡してきた。ラップトップをフルスクリーンにして再生ボタンを押すとおとなもこどももおねーさんも関係なく皆でようかい体操を踊った。

クソみたいなバスに揺られてハンピに着いて飯も食わずにちょっとしたトレッキングをして泳いで、夜になってようかい体操を踊る。始まりは最悪で、昼には最高の体験をして、面白くも奇妙な夜を迎えた長い長い一日だった。そうそう、ドォワッハッハーの部分は覚えましたんで。

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