DAY 031 Air, Water, Internet…We are all addicted!

ドーサ屋に入って入り口から見える往来をずっと眺めていた。入り口の枠がわざわざあしらえた額縁みたいに風景を切り取っていた。

心なしかいつもより女性の姿が多く見えるのは土曜日の朝だからだろうか。向かいにある果物屋の老婆はサリーの着方が大雑把で、誰かに聞いた片乳ぽろりのおばあちゃんがやっている果物屋とはあそこのことなのだろう。その横で若い娘が店先に並んだ商品を手早くチェックして売り物にならないと判断した果実を放り投げて捨てた。するとすぐに黒い牛がやってきてその果実を食べ始め、あらかた咀嚼するとゆっくりと去っていった。

おつかいに来たであろう姉妹がさっきからドーサ屋の前で待っている。きりっとした顔立ちの姉のほうは目が合うと微笑んでくれるが幼い妹は絶えずきょろきょろと周囲を見渡している。妹はロナウジーニョに神様が与え忘れた美形という要素を加えたような顔で将来は姉に負けない美人になるのだろう。新聞紙に包まれたドーサを受け取った姉妹は足早に歩き出しフレームアウトした。

 

日課になったヨガを終えて昼食を取りに外へ。美味しいトマトヌードルを出すレストランがあると聞いたのでそこに向かって歩いていると目の前を昨晩仲良く鳴ったアメリカ人のカップルが歩いていたので声を掛けた。

オレゴンから来たスコットとハワイから来たクリスティーナは見ていて羨ましくなるくらい仲が良さそうで、彼らも昼食を取りに出たところらしい。Lotusってレストランはそこそこネット繋がるよと言ったらスコットが「おまえエスパーかよ!なんでおれの考えてることわかった?」と大げさに驚き、プリーにいる旅行者はみんなネット環境を求めて彷徨ってるからねえと答えると納得の表情。

そういえばネット中毒という言葉をしばしば目にするが、それは果たして悪いことなのだろうか?自分たち世代よりも上になるとPCやモバイルを持つようになったのが大人になってからだが、若い世代あるいは今の小学生達は物心ついた時からネットに繋がっているのが当たり前の環境で育ってきている。

時々「今の若い子たちは食事してても手元でスマホいじりながら食べていてほんとマナーが悪い」という年配の人間が嘆いているが、若い連中からすれば何故文句を言われているのか理解できないのではないか。だってあって当たり前なんだもの。空気を吸うように、喉が渇けば水を飲むように、彼らはネットに繋がっているのだ。

今こうしてプリーという小さな町で繋がらないWiFiに悩まされ、他の海外から来た旅行者も同じようにいらいらしているのを見ていると自分は若い連中のことを批判したり嘲笑ったりできない。彼らはネットがあるから使っているだけで、そのネットを作ったのは他でもない我々大人なのだから。20年もしたらネット中毒って言葉は死語になっているんだろうなあ。

 

Neil Young – Only Love Can Break Your Heart


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